仙台高等裁判所 昭和27年(う)569号 判決
職権を以つて原判決の擬律を調査するに、原判決は被告人が昭和二十七年五月二日午後八時三〇分頃米駐留軍用電話通信に使用中の鉛被ケーブル線約三〇メートルを窃取しようとした事実と、その際右切断にあたり同時刻から翌三日午前一一時頃迄電話通信を障碍した事実を認定し、前者につき刑法第二三五条第二四三条を、後者につき電信法第三七条を適用し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であると解して之に併合罪の加重をした上被告人を処断している。しかしながら原判決の認定は被告人が電話線を窃取しようとして、これを切断したため電話通信を障碍するに至つたものと解さなければならないから、原判決認定の被告人の右各行為は刑法第五四条第一項前段の一個の行為にして二個の罪名に触るる場合に該当する。それ故に原判決には法令の適用に誤があり、その誤は明らかに判法に影響があると認められるから原判決は破棄を免れない。